インプラントのメンテナンスは大事なのか?

ドクターコラム/2016年12月15日

インプラント治療は、患者様のあごの骨に人工歯根となるインプラント体を埋め込んで固定させる義歯治療の為、「インプラントを埋めたら後は何もしなくていい」と考えがちなのですが、実はインプラントは「埋め込んだら終わり」ではありません。

インプラント治療はむしろ、「インプラントを埋め入れてからが始まり」とも表現されるほど、治療後のメンテンナンスが必要不可欠となってきます。

インプラントのメンテナンスが大事な理由

1-1.治療後のメンテナンスを怠ると歯周病リスクが高まってしまいます

インプラント治療を受けた患者様の中には「インプラントは虫歯にならないから、もうこれで歯医者さんには通わなくて済みますよね」と大きな勘違いをしてしまっている方も多いのですが、これはまったくの誤りです。

確かに、インプラントは人工の歯根にアバットメントや人工歯である上部構造を連結させた人工物になりますのでインプラント自体が虫歯になる事はありません。

しかし、インプラントは天然の歯よりもプラーク(歯垢)がたまりやすいという性質があり、インプラントにしたからといって歯磨きをきちんとせずにいるとたちまちインプラントを埋め入れた場所にはプラークや歯石が増えてしまいます。

プラークや歯石がインプラントに付着しても虫歯にはならないのですが、それらの細菌の塊が長時間インプラントの周囲に付着し続ける事で「歯周病のリスク」が高まってしまうのです。
インプラント治療後にインプラントそのものが抜け落ちる事例においては、この「治療後にかかる歯周病」がトップの原因となっています。
この為、インプラントは埋め入れた後の定期的なメンテナンスが非常に大切な項目となります。

1-2.メンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」を引き起こす事も

インプラント手術でインプラントをあごの骨に埋め入れた後にメンテナンスを怠ってしまうと、「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」といった、歯周病と同様の症状が埋め入れたインプラントの周辺に発生する事があります。

インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎は一見すると歯周病の症状に似ているようにも見えますが、インプラント周囲炎と歯周病には歯周病が患部に痛みが生じやすいという特徴があるのに対して、インプラント周囲炎は痛みを感じにくく気がついた時には歯茎がやせてしまっていたり、ひどい時には突然インプラントが脱落するなどの重篤な症状を引き起こす事もあります。

1-3.歯周病とインプラント周囲炎の違い

歯周病もインプラント周囲炎も同じ歯周病菌が起こす病気である点においては違いはありません。
しかし、この2つの病気にはさまざまな症状の違いが存在しています。

歯周病は天然の歯でもインプラントにも起こりうる症状であり痛みを感じやすいという特徴がありますが、インプラント周囲炎はさほど痛みを感じないケースも多いです。
また、歯周病は歯茎の腫れが顕著に現われる事が多いのに対し、インプラント周囲炎では歯茎はあまり腫れないケースもあり判断が難しいのが特徴です。

さらには、歯周病が主に歯茎を中心にして炎症が発生し、あごの骨には徐々に歯周病菌が侵食していくのに対してインプラント周囲炎では歯茎のほかにインプラントを支えているあごの骨に比較的短い期間で歯周病菌が到達して早いスピード(1年あたり平均で1mmから2mmの骨が失われてゆきます)であごの骨が失われていく為、インプラント周囲炎を放置してしまい気がついたらインプラントがぐらぐらになり脱落していた、というケースも少なくありません。

インプラントのメンテナンス方法について

2-1.基本はご自身で行うセルフケア、そして歯科医師や歯科衛生士によるプロケアを組み合わせてメンテナンスを行っていきます

手術を受けてインプラントを埋め入れた後には歯周病やインプラント周囲炎といった症状を予防する為、天然の歯と同じように毎日のブラッシングが最重要項目となります。
インプラントのメンテナンスは基本のケアとして患者様がご自身で出来る毎日のブラッシングによるプラークコントロールを中心に、インプラントを埋め入れた歯科医院で理想としては「3ヶ月に1度」、最低でも一年に2回から3回のペースで歯科医師や歯科衛生士によるメンテナンスを受けていただく事をおすすめします。
プラークコントロールの方法は通常の歯磨きとさほど変わりませんが、通常の歯磨きで採り入れられているバス法(歯ブラシを横に当ててゴシゴシと歯と歯茎の境目を磨く方法)でインプラントや歯茎との境目を磨いてしまうと歯茎が退縮してしまうおそれがありますので、歯科医師や歯科衛生士にしっかりとしたインプラントのブラッシング方法を教えてもらうのがベストです。


毎日のケアを欠かさずに行いましょう

今回は「インプラントのメンテナンスの重要性」についてお話をさせていただきました。

インプラントはメンテナンスをきちんと行う事で、埋め入れたインプラントを一生の間、問題なく使う事も可能です。
逆に、インプラント治療後にケアを怠ってしまうとせっかく埋め入れたインプラントも半年も持たずに抜け落ちてしまう事もあります。
ご自身で出来る毎日の歯磨き、そして歯科医師や歯科衛生士によるプロケアのメンテナンスを怠らず、インプラントを長持ちさせる事を心がけましょう。

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